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高橋ウィメンズクリニックのブログです。

44歳の卒業、着床障害の治療とは?

先日、44歳の方が体外受精(凍結胚盤胞移植)で妊娠され、卒業されました。
いくつかの参考事項があると思いますので、ご紹介致します。
この方は東京の有名クリニックで一度マイルドな排卵誘発(クロミッドのみ)で顕微受精を受けていました。3個採卵、顕微で2個受精、1個移植、保存胚なし。

この方は、来院時の子宮鏡検査で子宮内に癒着を認めました。半年前に子宮内膜ポリープの手術を受けていました。その時の手術による癒着であると推測されます。単発のポリープ手術後の癒着は珍しいと思いますが、掻爬手術や多数のポリープの手術ならば、子宮内腔癒着もおこりうると思います。子宮内腔の粘膜下筋腫や多数のポリープ切除術のあとには、念のために子宮鏡の再検査をしておいた方がよいかもしれませんね。写真では、ご本人の左子宮底に近い部分に癒着を認めます。

子宮鏡検査時には、生理食塩水を還流させますが、膨らませると超音波検査でも、癒着による索を認めます。ただし、通常はこのようには見えず、子宮内膜が単に薄めである程度の時もしばしばあります。
この方には、体外受精に向けて、まずはこの癒着をはがす手術をおこないました。
明確な着床障害とは、このような癒着や粘膜下筋腫、内膜ポリープの状態を示すのですね。
この間、体外受精までは、マルチビタミンのアシストワンを使用しました。
AMHが3.32と高く、年齢を考えると、採卵数をたくさんとれた方がよいと判断し、当クリニックではショート法を選択。13個採卵し、精子は正常でしたので、体外受精と顕微授精のスプリットを採用。12個受精しました。ただし、年齢もあり、凍結できたのは2個のみ。
その後、凍結胚盤胞を移植し、幸運にも妊娠され、卒業となりました。あと1個凍結胚があります。

①しばしば、着床障害について皆さんから質問を受けますが、はっきりしている着床障害とは、今回のように子宮内に、内腔癒着、粘膜下筋腫、内膜ポリープ、などなのです。したがって、そのための検査は、子宮鏡や子宮卵管造影検査なのですね。あとは、着床しない主な原因は、胚の質によるのです。
②高齢で、卵巣機能に余裕がある場合には、少数の卵子をとるのではなく、多数の卵子をとるほうが良いのではないでしょうか。例えば、この方が妊娠出産された場合には、次回の1年後の採卵、妊娠、出産は限りなく少なくなります。この方でも、凍結保存胚は少ないのですが、少しでも若いときの胚がたくさんあれば、二人目の可能性もそれだけ残ることになるのです。当クリニックでもマイルドな方法も採用していますが、やはりひとりひとりにあった誘発方法は、個別に考える必要があるでしょう。
今後、この方が、順調に経過していくことをお祈りしています。

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