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高橋ウィメンズクリニックのブログです。

AMH<0.1、双胎妊娠の卒業

先日、30歳代後半の、AMH<0.1の方が双子を妊娠されて卒業されました。
過去に、2回の卵巣嚢腫の手術を受けておられて、来院時はAMH=0.16 FSH=4.56と、卵巣機能はかなり低下していました。卵巣機能が低下しているので、IVFも含めて治療を急ぎました。
しかし、自然の卵胞発育もまばらで、急速に卵巣機能は低下していました。
来院半年後にはAMH<0.1の状態となり、FSHも21.9と上昇していました。したがって、プレマリンを補充する必要がある状況でした。
卵胞ができると、体外受精や人工授精を併用。
サプリメントは、DHEA、アシストワン、メラトニンを使用しました。

体外受精の経過
1)クロミッド周期  採卵1個 胚移植 1個(G4)
2)自然周期     排卵し中止
3)自然周期     採卵1個 変性卵
4)自然周期     採卵2個  day3胚凍結(内膜薄い)
5)自然周期     採卵3個  day2胚 2個凍結
   その後  初期胚を3回移植するも妊娠せず
6)自然周期    穿刺するも採卵できず
7)自然周期    穿刺するも採卵できず
8)自然周期    1個採卵 1個初期胚(day2 4細胞 G2)移植し、妊娠  双胎で卒業。

この方は、妊娠/卒業までに2年間要していますが、いくつかの参考になる事があります。

1)卵巣機能が非常に悪く、プレマリンを使用しました。ただし、プレマリンは排卵誘発剤ではなく、FSHを下げて、卵巣を休ませつつ、自然に卵胞が大きくなるのをまつ方法です。カウフマン「療法」と言われますが、誘発剤と混同しない注意が必要です。カウフマン療法をおこなえば、排卵誘発剤のように卵胞ができるのではありません。排卵誘発剤を使用できないほど卵巣機能が悪い方に、自然に卵胞が大きくなるのを待つ、方法なのです。
場合によっては、3週間~2ヶ月ほど、自然に卵胞ができるのを待つ必要があります。一方、人間の体はいつも一定、ではありません。この方のように、2個採卵できることもあるのです。
AMH<0.1でも、卵胞が見えるときには挑戦する意義はありますね。

2)ただし、自然周期では卵胞が一つなので、半数が途中でキャンセルすることがあります。この方の場合にも、採卵を8回試みて、胚移植できなかったことが4回ありました。マイルドな方法ではキャンセルとなる事が多くなることをご理解下さい。卵胞は1個あたり70~80%の採卵率ですし、1個の卵子が受精する率は60~70%と1/3は受精しないのです。

3)この方は、双子の妊娠でした。1個の胚移植でも、2~3%が1卵性の双胎になります。これ自体は珍しくはないのですが、この方は完全に胎嚢が二つに分かれており、超音波検査では、2卵性の双胎のように見えました。採卵前の超音波検査では卵胞は一つであり、採卵も1個、胚移植も1個なので、1卵性の双胎であるはずですが、超音波検査では2卵性の双胎のように見えるのですね。
生まれてきたときに、どうであったか楽しみです。これは産婦人科医向けのお話になりますが、、、

AMH<0.1でも、卵胞が見えるときには、あきらめずにいきましょう。ただし、急いで治療を進めていく必要がありますね。       

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