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高橋ウィメンズクリニックのブログです。

AMH<0.1で、当院で卵胞を初めて見て、そして妊娠した例(小さな奇跡?)

24時間テレビではありませんが、小さな奇跡かも?という妊娠例がありました。
30歳代前半で、AMH<0.1。卵巣性無月経で5年以上前からカウフマン療法で生理をおこしていました。前医でも2年間クロミフェン、HMG注射での排卵誘発をしましたが、卵胞発育や排卵は全くなし。
当クリニックに転院されてきました。
AMH<0.1、LH;40、FSH;99.6、E2<10で、超音波検査でも卵巣、卵胞は確認できず、検査上は完全な閉経(POF)状態の数値でした。
強度の酸化ストレス状態、ビタミンCの低下、DHEAsの低下状態であり、総合ビタミン剤のアシストワン、DHEAをすぐに開始しました。
当クリニックでも、プレマリン1Tで開始したところ、月経65日目で5mm以下の卵胞(?)を2個見つけました。その周期は自然(プレマリンは使用中)に生理(不正出血?)が来ました。
プレマリンを使用しつつ、次周期の月経7日めには、18×14mmの卵胞があり、体外受精を目指すも、採卵当日には排卵済みでAIHに変更。
御本人は、「初めて卵胞を見た」と驚いていました。
翌周期もプレマリンを使用したところ、21日目で13×11mmの卵胞があり、採卵。これは変性卵であり、中止。しかし、卵子は確認できました。
次の周期は仕事との兼ね合いで、プレマリン-プラノバールでお休み。この間は一種のカウフマン療法での治療をおこなったのです。
翌周期には、プレマリンを使用して、月経30日目に28×21mmの卵胞を認め、採卵、体外受精。受精卵を得られるも、3前核胚であり、胚移植は中止。しかし、受精卵は認められました。
次に、アシストワン、DHEAにメラトニンも追加しました。
次周期には、月経19日目に20×16mmの卵胞を認め、体外受精で採卵でき、無事受精。4細胞で胚移植。そして何と妊娠し、心拍も認めました。今後順調に経過することを祈るばかりです。

いくつかの参考点をお示しします。
1)この方は、カウフマン療法を受けて、生理が来ていましたが、少なくとも2年間は卵胞は認められませんでした。しかし、今回のように、自動的に生理をおこすのではなく、プレマリンを30日も使用して、頻回に観察することで、卵胞を認めることがあるのですね。カウフマン療法では、自動的に1ヶ月毎に生理をおこすのですが、目的は生理をおこすのではなく、卵胞発育を見ることなので、プレマリンのみの投与で、1~2ヶ月様子をねばって見ることも一つの方法なのです。
または、スプレキュアなどでLH,FSHを下げておいてからの、大量のHMG注射(450単位~600単位:通常の2~3倍)で排卵誘発(2~4週間)すると、25%ぐらいの方に卵胞ができる事もあるようです。
2)ただし、今回は非常に幸運であったと思います。早期の卵巣機能不全の方には、いくらHMG注射を使用しても、75%は反応しないのですから、卵巣機能が低下している方はできるだけ早く治療を進める必要があるのですね。
3)HMG注射での排卵誘発(積極治療)には、毎日の注射が必要ですが、今回のようにプレマリンで待つ治療(待機治療)もあるのです。どちらが良いかは、残念ながら判りません。それぞれ試してみる事になるのです。
4)今回は、プレマリンを使用してから、良い卵子が得られるまでに半年かかりました。この間、初めての卵胞、変性卵の採取、染色体異常の受精卵、正常胚からの妊娠、と進んでいきました。卵子が成熟するには約80日(3ヶ月程度)かかります。無月経だった方に、排卵誘発剤を使用したらすぐに良い卵子が得られるわけではありません。成熟には2回の生理が必要だとする考えもあります。したがって、良い卵子を得られるための対策をおこなっても、その対策が効果があるかどうかを判断するには、少なくとも3~4ヶ月の継続が必要だと考えた方が良いでしょう。ただし、その対策が効果があるとの保証はないので、その対策をのために3~4ヶ月間待つのは良くありません。一番の対策はスピードが大切です。
5)今回は、アシストワン、DHEA、メラトニンを併用しました。これらも好影響があったと考えたいのですが、その証明はなかなかできません。位置づけとしては、補助的な位置づけになります。ただし、少しでも良い結果の可能性が高まるならば、とのつもりで使用するならば、試してもよいでしょう。

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