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高橋ウィメンズクリニックのブログです。

体外受精前の人工授精の妊娠例(あわせて、妊娠の判断の難しさ)

今回、体外受精前の人工授精で妊娠された方がいらっしゃいました。これ自体は珍しくはないのですが、いくつかの留意したい点がありますので、ご紹介致します。

第一に、この方は、この基礎体温表(出血が始まったときにはいつもと同じように基礎体温の低下もしつつあった)と、予定通りに生理(実際には妊娠初期の切迫流産の出血と判断されますが、、)が来たので、御本人も妊娠とは思っていませんでした。
しかし、この基礎体温表で、この方は妊娠されていたのです。以前にもこのブログで同じような低温期の妊娠例(2013年12月15日)をご紹介しました。その状況もご参考にしてみて下さい。この方も、E2=764、黄体ホルモン:2.26、HCG:2357であり、超音波検査で胎嚢が確認されました。
この方のように、基礎体温表や、E2や黄体ホルモンでは、妊娠の判断がつかないことも時々あるのです。子宮外妊娠でもしばしばこのような基礎体温表は見られます。
なかなか妊娠の判断が難しいこともしばしばあるのですね。医療の現場では、一つの検査ではなかなか判断できないことが、日常的におこります。この方も、超音波検査でおかしいと思い、HCG検査をおこなうことで妊娠が確認されました。通常はこの基礎体温表やE2,Pでは、HCG検査はおこなわないのです。
このような場合では、御本人もいつもの生理が来ていると考えていますし、基礎体温も下がっていると判断して、排卵誘発剤を使用したり、子宮卵管造影検査をおこなってしまうようなこともあり得るのですね。
人の体の状態は本当に様々なことがおこっていて、医療現場では、理論通り、教科書通りにいかないことが、日常的におこっているのです。



第二に、この方は人工授精で妊娠されましたが、原液精子は0.5ml、250万/ml、運動率12%、総運動精子数15万でした。人工授精の妊娠限界は、実際には設定できないのです。全く精子がいなければ当クリニックでも人工授精はおこないませんが、顕微授精が必要とされるレベルでも、人工授精で妊娠することもあるのです。
人間の体でおこっていることは、明確な線を引くことができないのです。不妊症治療では、可能性がある場合には、最終的な妊娠の可能性を少しでも高くするために、体外受精(顕微授精)の合間に人工授精、タイミングをとることも無駄ではないのです。
治療法をご自身で限定してしまわずに、総合的に治療を考える事も大切なことでしょう。

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