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院長がお答えします。

No.10577 コモ

はじめまして。海外(欧州)に在住しており、当地で不妊治療をはじめた者です。こちらでの生活が長く、また夫もこの国の人のためクリニックでのやりとりに特に問題はないのですが、日本語でのセカンドオピニオンが得られたらありがたいと思い、連絡をさせていただきました。

私は2012年に子宮内膜症性卵巣嚢腫(両側卵巣チョコレート脳腫)と診断されました。両卵巣が9センチ以上にも腫れていたので、腹腔鏡にてチョコレート脳腫除去手術を受けました。診断と手術は日本で受け、執刀医によりますと、卵巣以外にもかなり癒着があったが、卵巣の正常部分をできる限り残すように手術したとのことです。術後は再発防止のためにディナゲストを服用しているため(こちらで処方はVisanneという薬ですが、ディナゲストと成分同じ)、排卵・月経はありません。

二年半ほど前に縁あって夫と結婚し、内膜症を患っていること、またどちらも高齢のためにおそらく子供をもつことは無理だろうと考えておりました。しかし次第に、子供ができれば本当に素晴らしいだろうなあという思いが増し、先日、意を決して夫婦で不妊治療専門クリニックを訪問し、一連の検査を受けました。

夫の方は問題はありませんでしたが、やはり私の検査結果は非常に悪いものでした。主な数値は、AMH0.05、FSH9.7、LH1.8です。また血液検査に先立って行われたエコー検査では、右側卵巣に12.7㎜の卵胞とごく小さな卵胞2個、左側卵巣にはおそらく4個の小さな卵胞があること、いくつかの子宮筋腫(最大は2.85x3.03 cm)があることが確認されました。

担当医師によりますと、ディナゲスト服用によりAMHは実際よりも低くなっているだろうが非常に低いことには変わりない、またFSH9.7も実際にはより高い数値の可能性があるとのこと。妊娠率は少なくとも5%以下、おそらくは1%に満たないとのことです。不妊治療をこのクリニックでおこなうことはできるが、ディナゲスト服用を中止し、治療を継続していくなかで子宮内膜症が再発するだろうし、最悪の場合には子宮や卵巣の摘出を余儀なくされるリスクがあると言われました。本当に子供が欲しいのなら、提供卵子による治療の方が現実的で、この場合の妊娠率は40%程度だそうです。

卵子提供を受けてまでも子供を授かりたいのか、あるいは夫婦二人で生きていくのかについて、今後夫とよく相談しなければなりません。しかし、私としましては、せめて1度か2度、自分の卵巣から採卵できるか、そこから受精できるかを試してみたいという気持ちが大きいです。そうしたステップを経てこそ、卵子提供を納得して受け入れることができると思うのです。

担当医は子宮内膜症再発のリスクを非常に懸念しているようですが、それほど速く再発し悪化するものなのでしょうか。手術を受けるほどまでに重症化した原因は、私が婦人科を受診することをためらっていたことにあります。当時の私の月経周期は正常で、基礎体温を測ると低温期・高温期の差がはっきりあり、生理痛も1・2日目に鎮痛剤で抑えられる程度でしたので、まさか病気にかかっているとは思ってもいませんでした。

長々とした説明になってしまいましたが、主に以下の二点について、先生のご意見をいただければ大変うれしいです。
(1) 上記のような状況を総合して、妊娠する可能性は1%未満というのは妥当な判断であるかどうか。
(2) 自身の卵巣からの採卵・受精というステップを1度か2度踏んだ後に、あるいは半年間ほど試した後に、提供卵子を用いての治療は可能かどうか。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

高橋敬一院長からの回答

なかなか判断が難しくお悩みのことと思います。どの方法を選ぶかは、考え方次第によりますので様々な考え方、選択肢があります。したがって、ここでは一つの考え方、モデルケールをお示しします。妊娠する可能性は1%よりも少し高いかも知れませんが、出産率は1%未満であることは妥当な数字です。妊娠しても2/3は流産しまう年齢なのですね。おおむね、この医師の説明は正しいと思います。その上で、ご自身の卵子での挑戦は、もちろんあり得ます。体外受精を2回挑戦するのは、2~4ヶ月程度でおこなえます。この間に急速に内膜症が悪化する可能性はそれほど高くはないでしょう。ただし、保証はありません。一方、もし悪化しても、チョコレート嚢腫の吸引や、ディナゲスト薬の使用、手術などで、対応することは不可能ではありません。また、最悪、卵巣を摘出しても、子宮が残っているならば、卵子提供での妊娠、出産は可能です。したがって、リスクはあるものの、自己卵子での挑戦は可能だと思いますよ。今は年齢が最も大きな要因です。もし挑戦するならば、判断は急ぐ方が良いと思います。納得できる方法でおこなえると良いですね。頑張って下さい。