No. 14363

はじめまして。 現在他院にて不妊治療を行っておりますが、 今後の治療戦略について迷いがあり、 ぜひ先生のご意見を伺いたく投稿いたしました。 私は現在44歳です。 少しでも早く結果を出したいと考え、 現在は他院にて「高刺激で一度に多くの採卵を行い、 胚の確保を優先する方法」を選択しております。 身体的・金銭的な負担は承知の上で、 強い刺激を用いた採卵を継続してまいりました。 これまでの結果として、毎回7個程度の採卵はできているものの、 胚盤胞になるのは1個程度という状況が続いております。 これまでに5回採卵を行いましたが、 現時点で正常胚が得られていないという厳しい状況です。 今後の戦略として、以下の2つを比較検討しております。 1.現在の継続(高刺激法) 「強いやり方」で胚の確保にこだわり続けるべきか、 それとも年齢を考慮した際にこの方針には改善の余地があるのか。 2.方針の切り替え(適切な刺激(低刺激~中刺激)で負担を抑え、 毎回2個移植していく方法) 身体へのダメージを抑えつつ、 移植のチャンスを最大化するアプローチへ切り替えるべきか。 先生のこれまでのご経験から、私の年齢・採卵結果の状況において、 どちらのアプローチが妊娠への近道となりますでしょうか。 また、高刺激を選択し続ける場合、何か工夫すべき点があるのか、 あるいは方針を切り替えるべき判断基準があればご教示いただけますと幸いです。 転院も視野に入れて検討しております。 もし貴院で治療を始める場合、今のクリニックからの紹介状以外に、 どのようなデータや準備が初診時に重要となりますでしょうか。 お忙しいところ恐縮ですが、ご回答いただけますと幸いです。 よろしくお願いいたします。

No.14363 赤ちゃん待ち

はじめまして。
現在他院にて不妊治療を行っておりますが、
今後の治療戦略について迷いがあり、
ぜひ先生のご意見を伺いたく投稿いたしました。

私は現在44歳です。
少しでも早く結果を出したいと考え、
現在は他院にて「高刺激で一度に多くの採卵を行い、
胚の確保を優先する方法」を選択しております。
身体的・金銭的な負担は承知の上で、
強い刺激を用いた採卵を継続してまいりました。

これまでの結果として、毎回7個程度の採卵はできているものの、
胚盤胞になるのは1個程度という状況が続いております。
これまでに5回採卵を行いましたが、
現時点で正常胚が得られていないという厳しい状況です。

今後の戦略として、以下の2つを比較検討しております。

1.現在の継続(高刺激法)
「強いやり方」で胚の確保にこだわり続けるべきか、
それとも年齢を考慮した際にこの方針には改善の余地があるのか。

2.方針の切り替え(適切な刺激(低刺激~中刺激)で負担を抑え、
毎回2個移植していく方法)
身体へのダメージを抑えつつ、
移植のチャンスを最大化するアプローチへ切り替えるべきか。

先生のこれまでのご経験から、私の年齢・採卵結果の状況において、
どちらのアプローチが妊娠への近道となりますでしょうか。
また、高刺激を選択し続ける場合、何か工夫すべき点があるのか、
あるいは方針を切り替えるべき判断基準があればご教示いただけますと幸いです。

転院も視野に入れて検討しております。
もし貴院で治療を始める場合、今のクリニックからの紹介状以外に、
どのようなデータや準備が初診時に重要となりますでしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、ご回答いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

高橋敬一院長からの回答

正常胚が得られずお悩みのことと思います。
44歳で、毎回7個程度の採卵ができているので、卵巣の反応は悪い状況ではありません。一方で、胚盤胞になるのが毎回1個程度であるのは、年齢的には平均的です。また胚盤胞での正常胚の確率は、5~10個に1個が正常胚の確率になります。したがってこれも平均的な状態とも考えられます。
この状況では、「高刺激がよいか、低刺激がよいか」という単純に比較は困難ですが、正常胚の確率が低いので、基本的には高刺激をお勧めすることが多いです。ただし、少しでも胚盤胞を多く得られることが正常胚が得られる可能性も上げるので、良い胚を得られるための方法を確認することが重要です。
高刺激を続ける場合にも、同じ方法を漫然と繰り返すのではなく、刺激法、薬剤量、LH活性の有無、採卵のタイミング、トリガー方法、顕微授精の方法、精子選別、培養条件などを見直す余地があります。また、精子DNA損傷や酸化ストレス、甲状腺、糖代謝、ビタミンD、体重・栄養状態、亜鉛、銅、コレステロールなど、胚の発育に関係しうる因子も確認し、高濃度マルチビタミン、メラトニン、などのサプリメントも積極的に利用しています。
一方で、PGT-Aを行わずに移植していく方針や、状況によって2個移植を考える方針も選択肢にはなります。ただし、2個移植は妊娠率を少し上げる可能性がある一方で、双胎妊娠のリスクがあります。PGT-Aも流産予防のメリットはありますが、胚の質を良くする方法ではなく、効果の限界もあります。
当院の方針を一例と上げるならば、現時点では、低刺激へ切り替えることではなく、これまでの採卵・培養・PGT-Aの詳細を確認し、改善できる点があるかを検討することです。7個程度採卵できているのであれば、卵子数を確保する戦略自体は妥当性があります。ただし、胚盤胞到達率や正常胚率を上げるための工夫ができるかどうかを検討する価値があります。
当院でご相談いただく場合には、紹介状に加えて、これまでの採卵ごとのデータやPGT-Aの結果も重要です。
年齢的には時間がとても大切ですので、治療方針を大きく変える前に、これまでの結果を整理し、「卵子数の問題なのか」「受精・培養の問題なのか」「染色体異常の問題なのか」「精子側の要因があるのか」を確認したうえで、次の採卵方針を決めるのがよいと思います。
一方、今までの方針に疑問があるならば、やり方を変えての低~中刺激も間違いとは言えないのですね。