No. 7363

前回の診察で、ヘパリン注射の事を伺いました。もし妊娠できたとしたら、ヘパリン注射をした方が出産までたどり着ける確率は上がるのでしょうか?もし、上がるならやりたいです。

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カテゴリ: 習慣流産・不育症

前回の診察で、ヘパリン注射の事を伺いました。もし妊娠できたとしたら、ヘパリン注射をした方が出産までたどり着ける確率は上がるのでしょうか?もし、上がるならやりたいです。

高橋敬一院長からの回答

3回の流産でご不安になっていることと思います。まず、初期流産の2/3は偶然おきた染色体異常によります。今回の3回の流産のうち、2回目の染色体検査は問題があり偶然おきた染色体の問題でした。しかし3回目の流産は染色体は正常でした。一方、不育症の検査では、抗カルジオリピンIgM抗体が1回陽性と、抗核抗体40倍という結果でした。抗核抗体40倍は、(±)程度であり、流産には関係しないでしょう。抗カルジオリピンIgM抗体は、流産の原因としては弱いものであり、これが流産の原因とは決めつけられない状況です。したがって、現時点では、まずは、抗カルジオリピンIgM抗体の再検査をお勧めします。再検査で陰性となる可能性もあるのです。次に、これが陽性であった場合でも、2回目の流産の原因は染色体の問題でした。現時点では、抗カルジオリピンIgM抗体による血栓で流産がおこった証拠は乏しいのです。したがって、ヘパリンで妊娠が継続しやすくなるとの保証はかなり弱いものになり、学会レベルでは否定的に見られる状況です。ヘパリンを出産まで毎日ヘパリンを使用する手間とリスクを考えると、積極的にはお勧めする状況ではないと思います。アスピリンの使用が適当な対策ではないかと思います。一方、アスピリンでは不安であり、どうしてもヘパリンを使用されたい場合には、妊娠確認後、早期にヘパリンを使用する施設に転院して使用すれば良いと思います。ただし、ヘパリンの使用はかなり根拠が曖昧なので、施設によってはヘパリン使用を受けてくれない可能性もありますので、転院前に確認する必要があると思います。